サウナと銭湯の思い出。

街の銭湯に初めて行ったのはいつだっただろうか。はっきりとは覚えていない。

大学時代、軽音サークルの同期や先輩たちと何回かスーパー銭湯やサウナには入った。

この時はまだ銭湯やサウナが好きで行っていたわけではなく、一緒に行く人たちが好きで一緒に遊びに行っていた。

銭湯やサウナで1番思い出深いのは、大事な友人Nくんに誘ってもらって一緒に行ったそしがや温泉21だ。他にも脚本家の友人や音楽家の友人が何人かいてあの夜はほんとうに楽しかった。

当時は、まだ友人と呼べるような人が少なくて今思えば自信がなかった。

そんなときにこんな楽しい同世代がいて、しかもこんな夜に銭湯に行けるなんて!そしがやの地域は本当に素晴らしい地域だと励まされ刺激を受けたのだった。

それまでの銭湯のイメージは、なんだか汚い場所だと思っていた節がありあまりいいイメージじゃなかった。

日頃から僕は眼鏡をかけているので眼鏡を外して見知らぬ場所を歩くのは怖いし、知らない人が沢山いる場所に(しかもみんな裸で怖い)あまり好き好んで行くタイプではなかったんだけど、この日をきっかけに友達とお風呂に入ったりするのはすごくいいことなんだと考えを改めたのだった。

こうしてそしがや温泉21の体験が強く残り、初めての一人暮らしは東京・祖師ヶ谷大蔵にほど近い狛江に住むことにした。

別に対して思い入れもない街だったけれど、僕が大好きなNRQで二胡を弾いている吉田さんが「狛江はいい街だよ」と言っていたのが妙に頭に残っていて、2016年の年末から4年半ほど住んだ。

近所には気持ちのいい緑道があって、尺八工房があった。

毎朝9:0010:00ぐらいになると尺八が鳴り始めて、休みの日にはその音を合図にしてそろそろ支度をするか〜と朝ごはんや仕事の準備をした。

今よりもお金が全然なかったけれど、たまにギャラが入った時にご褒美にそしがや温泉21に行ったのだった。

そんなそしがや温泉21が今年3月末で閉業することになった。理由は老朽化らしい。

これが悲しくて、先日もう一度入りに行こうと思い至ってお店の前まで行った。

しかし思い出がありすぎてお店の前まで行って入るのを断念してしまった。

なんだかあの時の記憶のまま残しておきたい気持ちになったのだ。

あれから引越しをして今は別の場所で暮らしているが、あのときの自分の残像がまだそこにいるみたいでむず痒かった。

そしがや温泉に浸かりながら、悔しかったことやこんなことをやってみたい!と意気込んでいたことを思い出した。

そしてそれは最近になって出来ていたり、出来るようになってきた。時間が経てば夢が少しずつ叶うのだ。

僕なりのペースにはなるけれど、やっぱり思い描いたものは強く考えていると実現していくのだと思う。

そんなふうに銭湯に行くのを断念し、自宅でお湯に浸かりながら僕は久しぶりに少し昔のことを思い出していた(次回に続く)

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